ある学徒の手記
株式会社トミーウォーカー運営の学園伝綺PBW『シルバーレイン』のキャラクター視点の手記。
DATE: --/--/--(--)   CATEGORY: スポンサー広告
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
page top
SS『東京アタラクシア』
 ―魔都・東京。S宿K舞伎町某所にて
「…。畜生が……ヒック…くそっ…!!」
 何本目かもわからない酒ビンを放り投げ、くたびれた中年の男は独り毒づいた。
 君子、危うきに近寄らず。通行人たちはそんな彼の姿を見てみぬフリをして、足早に周囲から離れていく。あと何時間かもすれば、『その道』の方々が掃除に来ることだろう。
「こんばんは、おじ様」
「ッ!?」
 突然声をかけられ、男は壁にもたれかかったまま、面を上げた。
「そんなに浮かない顔をして、何事かお悩みかしら?」
 ギラつくネオンの街灯に浮かびあがる雪のように白い髪、肌。紅い瞳。
 涼しげな声。彫像のような穏やかな微笑み。
 何を差し引いても、異常にこの街に馴染んでいない少女が自分の前に立っていた。
「…う、うるさい…ック…。あっちへいけ…!!!」
 唐突に訪れた非日常の展開に戸惑いつつも、なんとか相手を追い払おうと声を荒げる。これほど目立つ外見なのに、周囲の人間が全く気付いていないかのような様子が、余計に不気味なのだ。
 少女はそんな男に優しく微笑むと、ゾッとするほど穏やかな声で語りかけてきた。
「愚かな提案があるのですが、どうでしょう?
 私でよければ、あなたの…ふふ、話相手になりたい…」
「…」
夜の街


 ―魔都・東京。某所ベンチにて
「…そうですか。奥さんが」
「あの女…一体誰のおかげで食っていられると思っているんだ…ッ!!
 気が狂いそうだ…。自分がいない間に、俺が汗水たらして働いている間にあの女は他の男と…ッッ!!!」
 憎しみを露に語気を荒げる男を、吉良原・吉奈はつぶさに観察していた。
『見定めている』のだ。どうすれば、この男の心の隙間に潜り込めるのかを…。
「離婚は考えていないのですか?」
「それで俺の気が済むものか…!! あいつは…あいつは…!!」
 男の必死な形相と憎しみに、吉良原は小さく口を歪ませて笑った。ああ、この人ならば。
「…ますよ?」
「何…?」
「『消せます』よ? あなたの妻も、浮気相手の男も、おじ様がその気ならね…」
 急激に血の気が引き、酔いがさめる男。
「な、何を…」
「値は張りますがね、仕事は確かですよ。
 何しろ…ふふ、文字通り、『何も』残りませんから」
 思考が硬直している男の胸ポケットに、アドレスを記した紙切れをそっとねじ込む。
「相手の本名、住所、容姿…。
 提供された情報が詳しければ詳しいほど、迅速にそれは行われるでしょう」
「そんなホラ話を…」
「信じる、信じないはあなた次第ですよ…」
 それだけ言うと吉良原はすくと立ち上がり、軽やかな足取りでベンチを後にした。

(「これで『衝動』も、少しは和らぐだろう。
 穏やかで植物のような…そんな状態に、ふふ」)
絵師様に感謝感激雨アラレ

<この記事で使われた画像について>
発注者とか使用権:比留間の中の人
制作:タカハシリューノスケ
著作権:株式会社テラネッツ
スポンサーサイト
[ TB*0 | CO*3 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する
● キター!
比留間の中の人 | URL | 2007/02/13(火) 16:15 [EDIT]
Ataraxia…エピクロス派のアレ

このやり場のないテンションの高さをどこで発揮すれば良いのでしょうか。
゚∀゚) < ぬるぽぬるぽぬるぽぬるぽ――――ッ!
● ガッ!
鳳凰堂の中の人 | URL | 2007/02/13(火) 19:12 [EDIT]
檻を忌避する賢者さんがいる!
ってゆーか美麗だなぁ羨ましいなぁー!

● かっけーーー!?
香の中の人 | URL | 2007/02/13(火) 22:15 [EDIT]
キラハラさんカッコいいよ!?
カッコいいよキラハラさん!!(落ち着きなさい)
うーむ。良いキャラです。素敵です。
その人と絡む為だけに、うっかり思わず東京怪談にキャラを作りたくなりますね(笑)

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © ある学徒の手記. all rights reserved. ページの先頭へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。