ある学徒の手記
株式会社トミーウォーカー運営の学園伝綺PBW『シルバーレイン』のキャラクター視点の手記。
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『化物VS怪物』後編
SS『化物VS怪物』の続きみたいな感じで。
「…お前、本当に『人間』か?」
邂逅

 硝煙を吐き出す拳銃・『奈落』を手にしたまま。
さも忌々しいといった表情で大般若・如月はタバコのフィルターを吐き捨てた。
「テレフォン・パンチと一緒よ…。
 銃口の向きと、指の動きをほぼ正確に予測できるという前提があるなら…、
 人間の身体能力でも、銃弾は避けられなくもない」
 むちゃくちゃな理論を振りかざしつつ、吉良原・吉奈は木々の生い茂っている場所へと転がり込む。木の幹を盾に、被弾率を少しでも下げようという魂胆なのだろう。
「なるほど、ねぇ…。勉強になるぜ、ビッチ」
 近接戦を覚悟した如月は銃を左手に持ち替え、右手で腰の軍刀を抜刀する。
 可能だ。人外の膂力を持つ如月ならば、片手で相手の胴体をもなます斬りにできるし、銃の反動も十分に押さえつけられる。
 木々の葉や幹に遮られ、吉奈が潜む場所には街灯がほとんど届かない。熱源探査モードに視界を切り替え、無造作に茂みへと分け入る。

「―――、点火」
「いでぇーっっ!!?」
 瞬間、如月の足元に転がっていた空き缶が爆裂した。
 破裂したスチール缶の破片が、散弾のように皮膚を突き破ってめり込む。
「っ…こんのガキャァぁぁぁ~…!!!」
 憤怒の表情で歯を食いしばる如月。
 急所は守った。戦闘継続可能。っていうかブチ殺す。
「…。普通の人間なら、これでもう戦闘を続けるのは無理なんですけどねぇ…」
 攻撃が成功した吉良原の表情は明るくない。
 相手が『タフすぎる』のだ。おそらく、倒すには直接触れて相手自体を爆弾に変えねばならないだろう。
 だが、こちらの身体能力を遥かに上回る魔人相手に、近づく事など可能なのだろうか?
 嫌な汗が背をつたう。
「チョーシのんなよてめぇぇぇぇッッッ!!!」
「ッ!!?」
 怒髪が天をついて突撃してくる如月。吉良原は仕掛けていた爆弾を咄嗟に点火する。
「うわっちぃ…けど…! それがどうしたぁぁぁぁぁッッッッ!!!」
「!? な、なんていう…」
 デタラメだ。足を掠めた弾丸を無視し、一目散に逃げだす。
 もう木に隠れても無駄だろう。おそらく相手は、木の幹ごと自分を切り伏せる。
 銃弾が怖いが、自分の計算ではそろそろマガジンを交換しないといけないはずだ。問題はない、はず。
「待てやこのガキいぃぃぃッッ!!」
 異常な脚力で大地を破裂させながら如月が吉良原を猛追する。吉良原も追いつかれまいと必死に逃げるが、そこは人間、一般女子高生の脚力と体力。すさまじい勢いでぐんぐんと距離を縮められていく。
 そして。
「っぐぇ!!」
「つぅ~…かまぇ~たぁぁぁッッ!!!!」
 吉良原のマフラーをひっつかみ、そのまま思いっきり引っ張り上げて吉良原をぐるんぐるんと宙で振り回す。
「~~~~ッッッ!!!?」
「こんの野郎~…。皮膚の張り替えだってロハじゃあねぇんだぞぉぉぉ…!!!」
 加速する回転。空を裂く音が響く。
「~ッ!!!!?」
「いてぇだろぉがぁぁぁぁーーッッッ!!!!」
 ハンマー投げよろしく、如月はそのまま少女を放り投げた。吉良原はどうする事もできずに弧を描き、見知らぬ外車のボンネットでワンバウンドしてからコンクリートの地面に叩きつけられた。
「…あっ…が…はっ…っ!!!」
 息ができない。三半規管は未だ平衡感覚を取り戻していない。まずい、このままでは。
「もう逃がさねーぜ、ガキ。これで『詰み』だ」
 マガジンを交換する音が聞こえる。撃鉄を引き起こす音が聞こえる。
(「い、嫌だ…。こんな死に方は、嫌だ…ッッ」)


「お、お前ら、何やってるんだッ!!?」
「「っ!?」」
 突然の第三者の声。追跡に夢中だった如月は、そこではじめて周囲の状況が変化している事に気がついた。
「やべ。繁華街に出ちまった…」
 周囲を見れば、まさに夜の歓楽街。野次馬が既に辺りを取り囲み、中には警察に通報していると思しき者たちの姿もチラホラと見かける。
「あぁー! お、お客様の車を…!!
 な、何しやがるんだテメェ!! 弁償しろッ!!!」
「…。あぁ?」
 どこぞやのクラブの下っ端か、必死に虚勢を張って大般若に詰め寄ろうとするが、逆に完全武装の魔人に睨まれて腰を抜かしてしまった。
「ひ、人…。『人がいる』の、ね…」
「ヘイ、ビッチ。余計な真似はすんなよ?」
 すぐさま銃口を戻す大般若。だが、吉良原は全くひるまない。いや、むしろ既に勝ち誇ってさえいる。
「…無駄よ。もう私を追いかけることはできない」
「そうだな。お前はここで地獄にまっさかさま、確かに私にゃ追えねえよ」
「…バカな魔人」
 それだけ言うと、突然吉良原が視界内から消えた。
「んなッ!!!?」
 これには流石の如月も度肝を抜かれた。馬鹿な。あり得ない。
 野次馬たちも少女の姿を見失ったのか、互いの顔を見合わせたり辺りを忙しく見回している。
(「瞬間移動かッ!?」)
 いや、それならばこちらから逃げるときに既に使用しているはずだ。ならば、まだ近くにいるはず。
 咄嗟に周囲を見回すが、それらしき影が見当たらない。頭の中には鮮烈に吉良原のイメージが残っている。後ろ姿だろうと確実に判別できる程に。
 なのに、何故どこにもいない?
「無駄ですよ。そういう『能力』なので」
「ッ!!?」
 近くにいる。だが、どこにいるかわからない。
「てんめぇ…ッ!!」
「ご心配なく。この状態の時は、積極的に動けないもので」
 声が遠ざかっている。まずい。逃げられる。
「それではさようなら。もう二度と会わない事を願いますよ?」
 それきり、吉良原の声はしなくなった。

「や、やっべぇ…。」
 ざわつく野次馬。かけつける警官。
 だがそんな事はたいした問題ではない。
「ぼ、ボスに殺されるぅぅ~~~~~ッッ!!!!?」
 ギャフン。
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COMMENT

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● なお
比留間の中の人 | URL | 2007/02/05(月) 23:23 [EDIT]
銃弾は多分、人間じゃ避けられません。
良い子のみんなは絶対に真似しないで下さい。
● 美味いSSじゃのう
田吾作 | URL | 2007/02/06(火) 00:39 [EDIT]
ただの人が銃弾を避ける事が出来るのか?

できる できるのだ

ただの片腕のみにて刀を振るう事が出来るのか?

できる できるのだ


そして即座に右クリック保存。お美事にござりまする!
● ガンスミス見習い、語る。
魔都在住のガン娘@縁巻 | URL | 2007/02/09(金) 21:11 [EDIT]
(ふー、はーっ、ふーっ)
いい?あのね。

人間相手に13mm弾バカスカ撃つんじゃ無いわよこのポンコツロボ────!?
しかも一発も当てて無いじゃないの!弾が泣くわよ弾がッ!!!
ううぅ、明日も徹夜ね…

そんなわけでお美事で御座いまする。
対化物拳銃を(肉体的には)パンピーにぶっ放すヤクザロボは吐くまで偉い人にドツかれると良いと思います。ええ。

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