ある学徒の手記
株式会社トミーウォーカー運営の学園伝綺PBW『シルバーレイン』のキャラクター視点の手記。
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DATE: 2006/10/20(金)   CATEGORY: SS
タヌキとヤクザ
 銀誓館学園は非常識なほどに、広い。
 半ば学園都市と言っても差し支えないほどの面積を有するその学園では、移動もまた一苦労だ。
 違うキャンパスでの授業の際などは、
 自転車やシャトルバスでの移動もあるとかそうでないとか。

 そんな移動でごった返す生徒の群れの中を、狢・蓮がするすると移動している。
 誰かを探しているようだ。
「あれが、ムショ帰りの五十嵐か…」
 目的の人物はすぐに見つかった。
 何せ一際目立つ格好でしかも、歩くときに下駄の音を響かせているのだから。
 怖がって誰も近づかないそんな彼女に、狢は無造作に歩み寄る。

 目が合った。
「よぉ」
「あん? なんだてめぇは」
 妙に馴れ馴れしい狢に、五十嵐・フウは値踏みするような視線を向ける。
「この時期に、そんな風に腹を出していると体…それに子宮の調子を崩すぞ?」
 そう言って。五十嵐のあらわになっている腹部を指差す。
「あぁ?」
 見ず知らずの人間にいきなり注意をされたのが気に入らなかったのか、
 露骨に眉をひそめる五十嵐。
 次の瞬間には拳が飛んできそうだな、と思いつつも狢は続ける。
「あと、さらしを巻くならちゃんと腹まで巻け。
 それだと腹を切られた時に腸が飛び出…」
 言いかけたところで鉄拳が飛んできた。

 ああ、やっぱりな、と狢は殴られた瞬間心の中で苦笑した。
 二人のやり取りを遠巻きに見物していた何名かの生徒は、声を出してうろたえている。
 だが、見た目とは裏腹に『うまく』受けていた。大したダメージではない。
 狢は足を踏ん張って再び五十嵐を見据え、淡々と言葉を続ける。
「…それに、その胸にさらしを強く巻くと締め付けられて呼吸を圧迫する。
 つまり酸欠で行動が鈍り、戦力が低下するという事だ。

 …『ゴースト』と戦う前に、自らの服装で戦力を落としては話にならないぞ」
「…!? てめぇ…そうか。お前『も』か…」
 己が対峙しているのが『能力者』と気がついたのか、五十嵐が目を見開く、が。
 すぐに平生の調子を取り戻してまくし立てる。
「笑わせんじゃねえ! カタギの奴らとはハナから鍛え方が違うんだよ!」
 ぱーん、と力強く自分の腹を叩いて音を鳴らす。だからどうしたと思わないでもないが。
 思わずふき出す。
「ク…」
「そこは笑うとこじゃねえ!!」
 いやしかしなぁ、と狢は頭を掻く。
 五十嵐はそんな狢の態度が気に食わなかったのか、余計に苛立ちをつのらせていく。
「俺は事実を忠告したまでだ。あと、拳はいいものをもっているが、打ち抜き方が甘…」
 本日二度目の拳が飛んできた。しかも『見えない』一撃である。
(「ちょ、見えな…ッ!!」)
 笑えねええ、と狢がニヤける。
「かしこぶってんじゃねーよ。何もかも見透かしたような、シケたツラしやがって…!
 悲劇のヒーローにでもなったつもりかぁ?」
 その言葉を聞いた瞬間、狢は何故か凍りついた。
 ―悲劇? 違うね、もはや喜劇。
 ―お前なんかに、家族を■された■■がわ■るもの■よ。
「根性見せろ!!
 しょぼくれてると、明日には死体になって地面に転がるぞ!」
 が、それは本当に一瞬の事。おそらく五十嵐は気がついていまい。
「気合入れろや!! …。お前も、能力者だろうが」

「…。そうだな」
「…あ? …お、おぅ。わかってんじゃねーかよ…」
 突然おとなしく同意した狢に調子を崩され、ややバツが悪そうに五十嵐がふんぬと腕を組む。

「まあ、お互いうまくやろう。俺は絶技クラブの狢・蓮だ」
「…五十嵐・フウだ。結社はまだ入ってねえ…っておい!!」
 遅れた自己紹介もそこそこ、
 蓮は手をひらひら振りながら、背を向けて去っていった。

「…なんでぇ、あいつ」
 五十嵐は狐…いや狸に鼻をつままれたような表情で首をかしげた。
タヌキとヤクザ


―――――――
「むきゃー! 狢先輩、ご飯は毎日、規則正しく食べてください!!
「問題ない。今その分も食べている」
「あー! それは私のです!!」
 その後、もっしゃもっしゃと白米をほおばりながら狢は比留間の弁当のおかずまで奪いとっていた。
 ギャフン。
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COMMENT

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● ギャフン
比留間の中の人 | URL | 2006/10/20(金) 02:23 [EDIT]
こんな絡みもあったとかなかったとか。

鳳凰堂の中の人 | URL | 2006/10/20(金) 13:38 [EDIT]
そんな絡みを経てもやはり蓮さんは蓮さんですか。
うーん、マイペースイズストロング。
● カッカッカッ
大きな爺 | URL | 2006/10/22(日) 02:13 [EDIT]
狢殿はどこまでいっても変わらんのじゃのう。
普通は、「腹を冷やすぞ」とかいうとこじゃろうに・・・

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