ある学徒の手記
株式会社トミーウォーカー運営の学園伝綺PBW『シルバーレイン』のキャラクター視点の手記。
DATE: --/--/--(--)   CATEGORY: スポンサー広告
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
page top
DATE: 2006/09/28(木)   CATEGORY: SS
【プライベートシナリオ】比留間迎撃の用意なし!
 ―【月】の正位置、【死】の逆位置、【戦車】の逆位置。
 ―…ん、現状目的が欠落してるわね。その辺りを考える時期みたい。
 ―ちゃんと自分のスタンス…
 ―目標を決めていても、何のためにやるのか、やった後はどうするのか、
 ―と言うような部分ね…。
 ―それを決めておかないと、痛い目にあってしまうかも。
「うーむ‥‥」
 学校の終わった帰り道。比留間・イドはうむむ、と唸りながら帰路についていた。
 心なしかいつもの覇気がない。
(「スタンス‥‥つまり、『動機』か‥」)
 ヘイズ・ブロウニングの占いの結果を反芻して、そんな事を考える。

 いつも通る橋の上に差し掛かったところで立ち止まり、ふと川に目を移す。
 今日は生憎の雨。いつもの綺麗な川ではなく、あるのは底の見えない濁流。
 しとしとと降る雨。霧で街がけぶる。

(「わかりきった事だ。私は戦士だ」)
 ―それは自分で選んだことか?

(「戦士は弱者の為に戦うが道理」)
 ―子供に戦士であることを強要するなんて。大人達は高みの見物か?

(「牙なき人の牙になるんだ‥‥!」)
 ―嫌だ、戦いたくない。怖い。死にたくない。

(「比留間の一族の一人として、私は正義を‥‥」)
「‥。ハン、つまり『アンタ自身』から出たものは何もないというわけだ」

「!!!? 誰だッ!!?」
 比留間は傘を放って反射的に振り向き、構える。
「な‥‥」
 瞬間、思考が硬直した。何の悪夢だ。
「酷ぇな。あたしはいつもお前の傍にいたのに」
『自 分 が 目 の 前 に い る』というのは。
“イド”は粘っこく口の端を歪ませ、伸びた前髪の隙間から剣呑な視線を飛ばす。
 対峙する比留間と“イド”。服装、身長、顔立ち、全てが気持ちの悪いくらいに『一緒』だった。
 違いらしい違いは、髪の長さと、眼鏡の有無くらいだろうか。

 しばしの沈黙。先にそれを破るのは‥‥“イド”。

「フロイト知ってるか?」
「‥‥何?」
 あまりに唐突な質問に、比留間が眉をひそめる。
「フロイトだよ。フロイト。オーストリアの精神分析学者、ジークムント・フロイト」
 発言の意図がわからない。
「何を‥‥」
「イドは無意識層の中心の機能。感情、欲求、衝動をそのまま自我に伝える機能」
 じゃり、と“イド”が構える。反射的に比留間もそれを迎え撃つ形で構えざるをえない。
「お前はあたしの建て前で、あたしはお前の本心さ」
「‥‥嘘 だッッ!!!」
 小雨の降り注ぐ橋の上、唐突に死闘の火蓋は落とされた。

「「起動完了! 当方に迎撃の用意あり!!」」
起動完了


 人間の挙動を完全に越えた速度で互いが踏み込む。
「だあぁぁぁぁぁッッッ!!!」
「シャ、ハ!!!」
 零距離からの拳の応報。ガントレット同士がぶつかり、火花が散る。
「ヒヒ‥‥ッッッ!!!」
「ぐっ!!?」
 速い。“イド”の掌底が比留間の横っ腹を捉え、吹き飛ばす。
「はは‥‥どうしたの? 拳が迷ってるみたいだけど?」
「うるさい!!」
 苦し紛れに比留間が突っ込む。だが軽くあしらわれ、返しに手痛い反撃の蹴りをくらう。

「物語の中だけの‥‥。聞いた話の中だけの、覚悟の戦士が羨ましかった、てか?」
 間髪いれぬ“イド”の追撃。ここで後手に回るのは拙い。比留間も怒涛の猛攻で対抗する。
「そうだ! どこかの誰かの未来の為に、命を賭して戦う覚悟が! 格好よいと思ったから憧れた!!」
「そうだ! この身は牙なき人の牙でなければならないと!
 強迫観念を植えつけられてつき動かされてきた!!
 それが苦痛だと思う事も! 他人の受け売りに過ぎないと気付く間もなく!
 ただ走り続けた!!」
「‥‥違う!!」
“イド”の胴回し回転蹴り、すぐさま異常な速度を利用して体勢を立て直し、連撃で相手を崩しにかかる。
 比留間は両腕で顔を多い、まるで戦意を失ったボクサーのように打撃の嵐に耐えるしかなかった。
「だが所詮は偽物だ!
 そんな受け売りの覚悟では何も救えない!!」
「違う、私は‥‥‥ッ!!」
 視界が歪む。打撃のせいではない、言葉の暴力のせいだ。
 比留間という少女の生き様を、そのいびつさを、バカだと指摘する自分の影の説得力が、痛いのだ。
「受け売りの覚悟!! 刷り込まれた正義!!
 お前が自分で作り出したものなんて何もない!!!」
 こぼれそうになる涙を拭く暇さえ与えない、“イド”の拳。
 腕がしびれる、いや、折れたかもしれない。
「私は‥‥私はッッ!!!!」
「‥‥お前は、『偽者』だぁッッッ!! 」
(「‥‥ぁ」)
 戦意が、覚悟が、比留間の矜持が心の剣が、ばきんと折れた。

  一閃。

 文句のつけようがない芸術的なまでの正拳突き。
 胴体を貫通せんとする勢いで打ち抜かれたそれは、見事に正中線を貫き。
「じゃあな。てめぇは背負った覚悟に押しつぶされて勝手に死ね。
 これから『比留間・イド』はあたしがやる」

 比留間を橋の上から叩き落した。
スポンサーサイト
[ TB*0 | CO*12 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する
● 【アナウンス】
比留間の中の人 | URL | 2006/09/28(木) 17:25 [EDIT]
唐突ですがここでゲームのお時間です。

募集人数は、恥ずかしながら私の処理能力の限界もあるので4~6名くらいで。
参加してもいいぜー、って方はこの記事にレスをして参加表明してくだされい。
先着順で参加者は決定という事で。

相談場所は結社【対ゴースト傭兵団『黄金と刃』】を間借りできないか団長に掛け合ってみます。
続報はこの記事にレスするので、アナウンスがあるまでお待ちください。
● 参加を表明させて頂きます
トール(ハジキの中の人) | URL | 2006/09/28(木) 18:01 [EDIT]
不肖、植松・弾。
参加を表明させて頂きます。
● 参加表明 
マイトの中の人 | URL | 2006/09/28(木) 18:14 [EDIT]
御剣・舞斗、参加を表明。
君の覚悟を認めた以上───最期までは付き合うつもりだ。
● 参加希望
朽名 | URL | 2006/09/28(木) 20:26 [EDIT]
結果を看取るぐらいならできそうかな…。
ってなわで、参加希望ね。
● 参加表明
神井上人@プレジデントの中の人 | URL | 2006/09/28(木) 21:46 [EDIT]
…やれやれ。敵は内の中にあり、ですか。

神井上人、参加を表明します。
比留間さん、あなたは此処で終わる人じゃありませんよ(微笑んで)
● 参加希望
W.W | URL | 2006/09/28(木) 22:24 [EDIT]
この「ウォルディ・ウィルウォード」と引き分け、「剣」を折った「比留間・イド」が何を言うかと思えば………

フンッ。丁度いい。俺が出てアンタに時間をやる。「何のために戦うか。」考えろ。その程度、思春期と一緒に捨てて来い。
● 参加表明させていただきます。
明歌 | URL | 2006/09/28(木) 22:55 [EDIT]
「傍で見させていただく」と言った以上は私も放っておくわけにはいきませんね。
…上澄明歌、参加を表明させていただきます。

狢の中の人 | URL | 2006/09/29(金) 00:32 [EDIT]
狢蓮
参加を表明させてもらう。
武力が過剰なら、あいつの帰る場所を守らせてもらうさ
● 【アナウンス】2
比留間の中の人 | URL | 2006/09/29(金) 02:56 [EDIT]
了解。参加者の募集はここで打ち切ります。
参加できなかった方、も、申し訳ない。orz

『【相談スレッド】比留間迎撃の用意なし!』というスレッドを結社【対ゴースト傭兵団『黄金と刃』】に立てました。

プレイングの提出方法、締め切りもそこに書いてあるので、以後はそちらでお願いします。

鳳凰堂の中の人 | URL | 2006/09/30(土) 01:47 [EDIT]
ぽつ~~~ん
● あきらめたらそこで試合終了だよ…
比留間の中の人 | URL | 2006/09/30(土) 03:25 [EDIT]
>鳳凰堂の中の人さん
Σ アッー!!

鳳凰堂の中の人 | URL | 2006/10/02(月) 19:59 [EDIT]
まぁ、今回はご縁が無かったという事で………
とりあえず応援だけブログの方でやってみたので、また見といてあげて下さいまし~

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © ある学徒の手記. all rights reserved. ページの先頭へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。