ある学徒の手記
株式会社トミーウォーカー運営の学園伝綺PBW『シルバーレイン』のキャラクター視点の手記。
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DATE: 2007/09/07(金)   CATEGORY: SS
【IF Another despair】王と道化師
番外編ですね。
【20XX年 封鎖特区 鎌倉】

始まりにして終わりの地、鎌倉。
世界結界はもはや意味をなさず、
敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。

―『教団』所有 某所地下施設にて

「…っ…がっ…はぁぁぁぁぁ…」
詠唱銀と汚濁のプールから這い出し、"イド" は血の混じった液体を吐き出した。

「やあ。お久しぶりです比留間さん。
 …いや、"イド" と呼んだ方が正しいのかな」
眼鏡を指で上げ、男は口の端を歪めて微笑んだ。
光がレンズに反射し、本当に眼まで笑っているのかはわからない。
一衣まとわぬ姿のまま、男…"宗主"と呼ばれている男を見上げる。
「…? …ぅっ…ぐぃ…!!」
「ああ…、あまり喋らない方がいい。
『産まれたばかり』なんですから、声帯がまだ完全じゃないでしょう?」
真新しいタオルを"イド" に放り投げ、"宗主"は言葉を続ける。
どことも知れぬ彼方に視線を合わせながら。

「『刃』を集めています。守る為ではない、殺す為の刃を」
「…」
喋りたくても喋れないので、仕方なく黙っている"イド"。
"宗主"は芝居がかった口調と手振りで"イド"の方に向き直る。
「そのうちの一本が…。"イド" 、貴方だ。
 以後、無条件に従ってもらいます」
天使のように優しい微笑み、だが有無を言わさぬ絶対の殺気がにじみ出る。

 ―逆らったら、殺される
"イド"は直感で理解した。

学生の時とは違う、明らかに異様な気配を今の"宗主"は放っているのだ。
血のタンを床に吐き出し、悪態をつく。
「はっ…。せっかく世界に戻ってきたと思ったら、何てツイてないのかしら」
「ある意味幸運ですよ。
 存分に『殺し』を楽しむことができるじゃないですか」
「そういうイカレた趣味はないの」
「おや…それは意外だ」
よろよろと立ち上がり、タオルを羽織った"イド"は牙を剥いて笑う。

「あたしは、自分の『技』が高みへと昇っていく感覚が好きなのよ」
戦いと殺しはその為の方法でしかないわ、そう眼前の男に言い放つ。
「そうですか…。
 まあ、何であれ仕事をさせるのは変わりませんけれど」
「ミもフタもない事を…」
しかめっ面の"イド"に思わず苦笑する。

「ついてきて下さい。面白い光景を見せてあげましょう」
「この姿のままついてこいって?」
"イド"の姿を改めて注視する"宗主"。
「…これは失敬」


―『教団』所有施設 屋上

赤黒く焦げた空。乾いた空気。
一面に広がる廃墟の山脈。

生ぬるい風が頬をなでる。
「ふぅん…」
目を細め、辺りをゆっくりと見回す"イド"。
「あたしがいない間に、随分と様変わりしたのね」
「ええ、色々とありましたから」
"宗主"の方に向き直る。

「…。"比留間"はどうしたの」
「それは貴方じゃないですか」
「そういう意味じゃない」

しばらくの沈黙。

眼鏡を指で上げる"宗主"。
「貴方が、現在の"比留間・イド"ですよ。それに何か問題が?」
「…そう。そういう事」
つまらなそうに髪をかく"イド"。
「あの馬鹿、死んだんだ」
「ええ、まあ。…。…残念そうですね」
「別に」
矢のように素早い返答。
「それなら、『本人として』せいぜい楽しんでやるだけの話よ」
凍えそうなほどの無表情。
"宗主"はそれが面白いのか、いつも通りに微笑む。
「仕事はきちんとしてもらいますよ?」
「…。仕事仕事うるさいメガネね」
「遊びで貴方を召集したわけではないので」
ため息をこぼす"イド"。が次には鼻で笑うと、
仰々しい立ち振る舞いで、古の演劇にある"従者"のごとく"宗主"に頭をたれた。

「仰せの通りに、"宗主"さま」

いや、むしろこれは"道化師"…。
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