ある学徒の手記
株式会社トミーウォーカー運営の学園伝綺PBW『シルバーレイン』のキャラクター視点の手記。
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DATE: 2007/08/12(日)   CATEGORY: SS
イドラ曰くヒーロー
 ―2006年12月 ???
「何だあれは…」
「ふふ、ちょっとした余興ですよ」
いかにも、な男や女たちが集う高級クラブの一角。
縦じまのスーツに身を包んだ男たちを、黒服の女はまあまあとなだめる。
「悪りぃが、こちらも忙しい身の上なんでね。とっとと取引の話といこうや」
「何と無粋な…。ルネサンス発祥の国の人間のセリフとは思え…」
「お前死んだぜ」
ガチリと撃鉄の上がる音がした。
「てめえがこっちのシマで薬を勝手に流してる事はバレてんだよ…。
 この女狐が。
 今回の出方次第じゃあ、一回だけチャンスをくれてやろうかとも思ったが…」
「やれやれ…バカにつける薬はないな」
「んだとテメェ!!」
黒服の女はステージで演奏を続けていたイドラに合図を送る。
「………」
イドラは静かに頷くと、次の瞬間には一心不乱にギターをかき鳴らし始めた。
突然の音楽の変更に観客達は一斉にステージの方向に注目し、そのまま見入る。
「…!? な、首…が…!!」
否。見入っているのではない、正確には、『硬直して』動けないのだ。
今までに聴いた事もないような音楽のビートが男達の脳髄を直撃し、
指一本すら自由に動かすことを許さない。
「残念ですわ。とても良い取引だと思ったのですが…」
黒服の女は仰々しいセリフ回しで己の銃を引き抜く。
「や、やめ…!!!」
「ショッキングビート…」
イドラの呟きは銃声にかき消され、誰の耳にも入らなかった。

 ―2007年1月 ???
「ニホン…美しい国ね」
「………」
黒服の女と、その取り巻きたちに囲まれたイドラは
初めて日本の大地へと足を踏み入れた。
「仕事までは、少し期日がある…。それまでホテルで待機してなさい」
「はい…」
イドラに拒否権などなかった。
『嫌だ』『いいえ』。そう言った同年代くらいの仲間たちがどうなったか、幼子心にもイドラは理解していた。
それが当たり前の事だったのだ。イドラにとっては。

「…」
ホテルの最上階、スイートルームの一室から、星を眺める。
「おい、飯だ」
見張りと思しき男が食事を運んできた。
「はい」
テレビを観ながら、黙々と食事を取る。もっとも、日本語での放送なので、何を言っているのかわからなかったが。
「…」
男は何も言わずに持ち場に戻る。イドラは別段それについて特に思うことはなかった。

「…」
お腹も膨れた。眠くもなってきた。そろそろシャワーでも浴びよう。
そう思って立ち上がった瞬間。

 ―バチン
「ッ!!?」
突然、明かりが消えた。
「イドラ、どこだ!?」
「こ、ここ…」
見張りの男がすぐさま飛んできて、イドラの側につく。
対立する組織の襲撃かと警戒しているのだろう。
「…ホテルの予備電源まで落ちてるのか」
イドラを背に隠しつつ、男は冷静に状況を分析していく。
「何事だ!」
黒服の女の声が隣の部屋から聞こえてくる。
「わか…ません。襲撃…はないかと」
「フロン…は、どう……る?」
「電話…メです」
「確…してこい」
「はっ…」

ドタドタと男達の足音が響く。おそらくはフロントまで確認しにいったのだろう。
「…。…っ?」
「どうした?」
しんとした暗闇の中、イドラは今まで聴いた事のない『音』を耳にした。
「わからない…変な『音』がする」
「音…?」
「何だろこれ…何か引きずってる…。いや…怖い…怖い!!」
「おい、落ち着け!!」
震えが抑えられなくなってうずくまるイドラの背を男がさする。
「…どうした?」
ドアを開け、黒服の女がこちらに顔をのぞかせてきた。
「あ、はい。どうもこいつ、音がするとか何とか…」
「『音』…どんな?」
「わかりません。変な、としかいわな…」
―ビシャッ

唐突に、男の頭が爆ぜて窓際に大量の血をぶちまけた。
「っっ!!!?」
「こんばんワ、人間さん」
黒服の女は咄嗟にナイフを手にとって応戦…しようとしたところで己が目を疑った。
何だ、何だあれは。
「ば、ばっ…ば…」
言葉が出ない。
「言いたいことがあるなら、ハッキリとどうぞ…?」
下半身が蛇の女は、微笑みながらゆっくりと間合いを詰めてきた。
「どうしましたボ…うっ…あっ…なっ…!!!?」
護衛の男達も何人か出てきたが、リリスにとって能力者でない人間などどうという事もなかった。
衝撃波で軽くいなし、骨を砕く。あとはなぶり殺し。

「………」
言葉になっていない悲鳴がこだまする中、イドラはただ震える事しかできなかった。
完全に腰が抜けて、何もできなかったのだ。
「おまたせ、お嬢ちゃん…」
返り血をたっぷりと浴びたリリスが、再びイドラの前に立ちはだかる。
「っ…っ…っ…」
恐怖で体中の筋肉が引きつり、悲鳴すら出ない。
真っ白になった意識が再び戻ったときには、自分はリリスに絞め殺されかけている状態だった。
「………」
リリスの笑い声がこだまする。もうダメだ、死ぬ。
最後に見た光景は夜のお星様たちか。そんなことをひどく冷静に思いながら、片方だけ自由な手を、空に伸ばす。

「…?」
ふ、と星が消えた。否、人のシルエットに隠れて…人? ここは最上…。
思考をぶった切り、何者かが窓ガラスを叩きわって部屋に突入してくる。
「なっ…!?」
仰天したリリスが思わず後方に飛びのく。
「そこまでだ」
唐突に闇を引き裂く女の声。
「…?」
拘束が解かれ、イドラの薄れゆく意識がわずかばかり戻る。
「そこまでだ、ゴースト」
聴きなれないモーターの回転音が響く。
「何…よ。あんた…何なんのよぉぉぉ!!」
「通りすがりの絵本作家だ」
比留間・アリーヌ、堂々の乱入である。

「…ッ!!!!」
食事を邪魔されたリリスは不愉快でたまらないといった表情で衝撃波を放つ。が、それは。
「けぇぇぇぇぇいッッッ!!!」
「なっ…!」
『斬った』。衝撃波を。リリスがそう思った次の瞬間、彼女は自分の脳天が三寸ほど斬りこまれている事に気がついた。
「!? …!?!?」
わけもわからず轟沈するリリス。
「勝負は一閃…憂いなし!」
イドラは自分がおとぎ話の世界に迷い込んだのだと思った。、
開いた口が塞がらない彼女に、アリーヌは剣を戻して近寄ってきた。
「私の家族、あと一人くらいは余裕で受け入れる事ができるわ」
「…」
「どうするか、30秒で決めなさい」

1分後にイドラがようやくコクリと頷くと、
アリーヌはそっとイドラを抱きかかえて、その場を後にした。

イドラ・ヒルマ

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 この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、比留間の中の人が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は比留間の中の人に、著作権はでこに、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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<イドラ・ヒルマ イメージソング>
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COMMENT

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● 妹、襲来
比留間の中の人 | URL | 2007/08/12(日) 14:56 [EDIT]
BUキーーーーーターーーーーーー!!!!!(゚∀゚)

かっわいいよ! かっわいいよ! いっどりゃんりゃーん!

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