ある学徒の手記
株式会社トミーウォーカー運営の学園伝綺PBW『シルバーレイン』のキャラクター視点の手記。
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DATE: 2007/08/08(水)   CATEGORY: SS
夏休み2007
 ―2007年8月。比留間家本邸。

「おかえりなさいませ、お嬢様」
邸宅の使用人たち全員が玄関に整然と並び、
恭しく頭をたれて主の娘二人の帰還を喜ぶ。

「ただいま、みんな」
我らが比留間・イドははにかんで微笑みながら、
最近出来た妹の肩に触れて発言を促す。
「た、ただいま…」
比留間・イドラはたどたどしい口調でそれに応じた。
 ―数日後
日差しは相変わらず呆れるほどに強烈で、
空はガラスのように青く透き通って、入道雲はあるかないかの風にたなびく。
セミの鳴き声は、耳にどこか遠い。

広けれども質素な邸宅の一室。
血の全く異なる二人の姉妹(つまり一人は養子である)は、
同じ机を共有して夏休みの宿題を黙々と片付けていた。
「………」
「………」
二人の間に会話はない。
イドラはいささか落ち着かない様子だが、別に仲が悪いわけではない。

『沈黙は金』。比留間家はそれを地でいっているだけなのだ。
使用人たちでさえも、音らしき音はほとんど立てずに、
雑多な家事を粛々とこなしている。

静寂が続くことしばし。
「…ねえ、おねえちゃん」
イドラが口を開いた。
「…何?」
イドはそれに応える。ノートに書き込んでいる動きはそのままに。

「ゴーストと戦う時って…怖い?」
イドの手が一瞬止まる。そうか、そういえばこの子はまだ襲われた事こそあれ、あれに戦いを挑むのを前提に対峙した事はなかったのだ。
「ええ、とても」
「わたし、うまくできるかなぁ…?」
「ゴーストと…いや、相手が何であれ、
 戦いにはまず最初にするべき事があります」
イドラの手が止まる。こちらからは表情を伺う事はできないが、きっと話にひどく興味を引かれたのだろう。
「まずは、『自分を殺す』こと」
「…え? …??」
「腹をくくるという事よ? 自分の中の恐怖、怯え、躊躇を殺す。
それが戦いで一番最初に倒すべきもの。

 相手が何であれ、一度死んだ者を殺す事などできない。
心の中で一度死んだ者には、真田の槍も為朝の矢も通らない」
少しの沈黙。
「わ、わたし…そんなこと…」
「それが出来ぬようでは、比留間の一族にはなれない」
 シャープペンを置き、無理だと無言で抗議する妹の方を向く。
 イドラは目にいっぱいの涙をためていた。
「だ、だってわたし…。おねえちゃんみたいに、
 おとうさんとおかあさんの本当の子どもじゃ…!」
「本当の比留間は血ではない。生き様なの」
「…っ?」
「きっと世界結界が構築された当時から、そうだったんだと思う。
 あらゆる艱難辛苦に耐え、
 正しき良心を持ってゴーストに立ち向かおうと決めたその生き様。
 ただの人間からあらわれて、ただの人間で終わることを拒否した人間が、
 ただ努力だけで、世界を護ることを選んだその生き様」
 イドラは黙って姉の言葉に耳を傾ける。
「私は、その生き様に賛同したから、今でも比留間をやっている」
 あなたはどうなの? そう問いかける姉にイドラは強く頷いて、言った。
「私も、なりたい…。比留間に、なりたい…!」


「…。ならばやはり、私たちは姉妹ね」
「うん…じゃない、はい!」
帰省中
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COMMENT

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● できぬ………!
鳳凰堂の中の人 | URL | 2007/08/09(木) 06:45 [EDIT]
『心』を殺す事など出来るものか………!!
比留間の意味とは唯一つ!
覚悟決まって進む也!!

で、それなんて現人鬼?
● 新渡戸稲造の
比留間の中の人 | URL | 2007/08/10(金) 16:23 [EDIT]
『武士道』をうっかり読破してしまいました。
なので、比留間はちょっと初期のような
おカタい感じを取り戻すかもしれません。

気高く咲いて散る魂! (゚∀゚)

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